アップルの人ではないけれど

dadawo2009-01-26

週末に誕生日を迎えた。25歳、である。25歳はますます本を読む歳だ、大学時代に難解で途中で読み止めた本を再び読み直す歳にしたい。あの頃、解らない理由を若さのせいにして、「25歳になったら少しは解るだろう」と言い訳していたものである。その25歳だ、まずはボルヘスから。パスも待ってる。たくさん読むための腹ごしらえ、友人お手製のホールケーキを御馳走になった。いや、これ、本当にうまかった。


最近読んだ本
「アップルの人」を読了。これは、笑う。笑うしかない。

アップルの人 (新潮文庫)

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確かに、帯に書かれているように電車で読むのは危険。笑いは堪えられても、鼻息の荒い怪しい奴になってしまうよ。宮沢章夫のエッセイを読むのは初めてだったのだが、かなりばかばかしくあり、楽観的なんだけど批評的な考察も有りなエッセイに笑いながら感心。笑わせ方がうまいなー。改行したところで、素っ頓狂な一文をすとーんと置いてくるスタイルに前半はひたすら笑わせられた。特に、板前論法と松崎しげる。ただ、後半もずっと同様のスタイルだったので、書き手が笑わせようと狙ってる文を心待ちに身構えて読み進めてしまったため、170ページくらい以降若干失速。面白いんだけどね。
友人から昔のエッセイはもっと面白かったと聞いてしまったので、これは読むしかないな。


最近観た映画
たそがれ清兵衛」:久しぶりに時代劇を観るとなかなか新鮮。時代劇の良し悪しは分からないが、しっかり作り込まれた秀逸な映画という印象。それにしても、死に際のシーンを演じる田中泯は凄まじかった、さすが。

たそがれ清兵衛 [DVD]

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美しい夏キリシマ」:黒木和雄監督の晩年の3作品は全て観賞した。他の二作品は戯曲が原作であることを色濃く反映している(設定場面が少ない)のに対し、この作品は至って映画作品であったので(松田正隆が脚本を担当しているものの)印象は大分異なるのだが、監督の実体験が基になっているだけにしっかりとした物語性、各人物像がつくり上げられているように感じた。主役の少年の演技が素晴らしい。この3作品で「戦争レクイエム三部作」と思っていたが、違うようだ。一作品目も観てみなければ。

美しい夏 キリシマ [DVD]

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街のあかり」:一昨年に映画館で観て以来だったのだが、記憶に残っていた印象とは若干違ったりするのを楽しみつつ、アキ・カウリスマキの世界を堪能。ストーリー自体は惚れた女に騙されて強盗の罪を着させられるという何やら昼ドラ的な匂いのする内容なのだが、その滑稽とさえ言える物語がこの監督特有の淡々としながら味わいのある作風で展開されていくから面白い。新作は撮ってるのだろうか、次回作が待ち遠し。

街のあかり [DVD]

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