深夜に鳴く蝉

深夜に聴くセミの鳴き声は何か悲しい気持ちを喚起させられる。東京の気候の変化が、セミの昼夜の感覚も狂わせてしまったのだろうか。
関西に数日戻っていた。往復共に18切符にて移動。春に9日間かかった道のりが、新幹線使わなくても9時間程度であった。ぼーっとしてる間に、あれだけ苦しかった1日分移動してたりするのは、何か切ない。おかげで新幹線など使う必要性をしばらくは感じなさそうだから、貧乏学生にはちょうど良いかな。
関西に戻った主たる目的、パソコンの配送手続きを無事済ませることができた。今は未だ、机の後ろで巨大なダンボールに包まれているが、やっと自分の荷物を全て東京に持って来れた。預かってもらっていた友人には本当にお世話になった。これから少しずつ恩返ししていきたい。


関西滞在中に観た建築
ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸):関西に長いこと住んでいたのに、実は観ていなかったライトの作品。必ず観にいこうと思っていた。芦屋川駅を出て北に向かうとあれがライトの作品だとすぐに分かる佇まい。雨漏り等で失敗となった通気窓が、日本の気候に配慮したデザインと感じ、失敗してるけどとても印象に残っている。旧帝国ホテルにも使われていた大谷石がこの建物に温かみを与えているように感じた。
    
とらや京都店:これも絶対に訪れようと思っていた、内藤廣の設計による今年竣工したばかりのとらやの菓寮。庭に面した席であんみつと抹茶をいただいたが、庭を見つめながらのんびりしていると2時間近く居座ってしまってた。そのくらい、その場を流れている時間がとても居心地良い。歳月を経たらもっと良くなるんだろうなと予感させてくれる。お店に置いてあった資料で、内藤さんはこの建物を「脇役」と言っている。それは、先日観た軽井沢の建物にも同様のことが言え、「脇役」というのが内藤さんの作品に通底している要素の一つなのだろうと思う。我が家の近くにあればな、と羨みながらお店を去った。11月には同じく内藤さんの設計で店舗もオープンするようだ。今から楽しみでならない。