サントリーミュージアム天保山が休館するようである

とても悲しいニュースだ。
http://www.hetga.com/suntory-museumu-2010dome.html
関西に住んでいた頃、面白そうな企画展があれば足を運んでいた美術館で、大阪では国立国際美術館の次に多く訪れたのではないだろうか。6年くらい前のピカソ展に行かなかったことは今でも後悔だし、ダリ展やインゴ・マウラー展など記憶に残っている展覧会は多い。展示スペースの途中にある海を眺められる部屋は感傷に浸れる良い空間だ。何を思い立ったか、自転車で1時間弱かけて行ったこともあった。
ただ、好きな美術館ではなかった。と言うより、大阪港駅周辺が全くもって好きにはなれなくて、駅から美術館までの導線が不明で孤立化してしまっていたのは否めない(その点、世田谷美術館は見事で、徒歩20分弱もかかる駅から美術館までの道のりを確か象設計集団と協働で整備し、案内表示も箇所箇所に迷わないよう設置されている)。大阪港駅周辺は海遊館もあり、大阪の重要な文化発信地となり得るポテンシャルを持つ場所であったはずで、公立/私立に関係なく街づくりを共同で行っていくべきだった。サントリーの運営の失敗という言葉だけでは片付かない。この大阪港周辺は、いろんな動きがあるのに単発で、地域としての盛り上がりがなく失敗に終わる。その代表例の一つである大阪赤レンガ倉庫は数年前に閉鎖し、現状はこんなことになっているようだ。4年前くらいに大阪現代演劇祭からの帰り道の、あの切なさが懐かしくもある。若者向けのライブハウスもあったよな。
http://www.asahi.com/national/update/0620/OSK200906200028.html
言いたいことはもっといっぱいある。大阪の美術シーンは悲しい状況だ。児玉画廊は京都に移ってしまうし、関西アートビートは1年以上休止状態だ。サントリーに対しても言いたい。大阪を地盤とする企業が地元を見放して東京に美術館事業を集約するなんて如何なものだろうか。六本木で文化を発信しなくても、他に発信してくれる場所がいくらでもあるではないか。踏ん張れよと言いたい。重ねて、言いたいことはもっといっぱいある。安藤忠雄はどう思っているのだろうか。
こう書きながら、建築家を志すなら東京だと大阪を離れてしまった僕が何を言っても説得力はないことを自覚している。けど、この思いを発さずにはいられないよ。