6日:茅野→松本

茅野市民館を観た後、徒歩30分ほどで神長官守矢史料館へ。ちょっと道を間違えてしまって周囲を見渡すと、住宅の中に一風変わった建物が見える。この建築も捉えどころのない外観をしてして、シンメトリーやアシンメトリーの枠を軽く超えてしまっている。エントランスの正面に立つと何か微笑ましくなるのは、庇から飛び出た柱や、微妙なさじ加減でシンメトリーから外れてしまっているところ。そして、静岡の二つの美術館同様、内部がとても良いのは素材による暖かみと高さの加減だと思う。そして、藤森さんの建物で働く人は良い人ばかりである。この史料館のスタッフも質問に親切に答えてくれ、雑談も軽く交わす。唐突に「自転車で来たの?」と聞かれたのは何故だろう。他の見学者を迎えに来たタクシーの運転手もスケッチしている僕に話しかけてくれ、この辺りは藤森姓が多いとかお祭りのこととかを教えてくれる。藤森さんの建築は人の心を暖かくするのだろうな。
   
    
神長官守矢史料館から上に少し登ったところにある、同じく藤森照信設計の茶室、高過庵。先に書いた茶室や史料館で抱いた印象と同様のことが言えるのだが、何故かこの建築が一番好きで、その場から離れられなくなってしまった。藤森さんの作品に限らず、今まで観てきた多くの建築では得られなかった感動をこの茶室は喚起させてくれる。こうしたことの原因は何であるのかは、よく整理できていないので、今後ゆっくりと考えたいと思う。兎にも角にも、素晴らしかった。
          


茅野駅へ再び徒歩で戻る。電車が来るまでの時間で再び茅野市民館を見学した後、松本市へ向かう。19時前着。ホテル向かうより先にまつもと市民芸術館へ。見学した後、館内のレストランで夕食を食べる。予約していたホテルでチェックイン。読書しながら就寝。