10日:水戸芸術館と古河総合公園

10日は青春18切符の有効期限日。1日分だけ残っていたので、日帰りで水戸市古河市へ建築を観に行くことに。
勝手な想像で、水戸は歴史を色濃く残す街かと思っていたが、駅から水戸芸術館までの無表情ぶりにびっくり。そして、この磯崎新の設計は如何なものだろうか。角地に位置する複合施設で、いろんな場所からアクセス可能だが、動線が上手くいっていない。わざわざ階段を上る必要が全く感じられないエントランスがいくつか。エントランスではない、40センチくらいありそうな段差を上って入っていく姿も見えた。それと、全体としてメリハリが無い、という言い方が正しいか分からないが、凝った建築であるのに凡庸な印象を受けてしまう。現代美術センターの各展示スペースに設けられたトップライトは居心地の良さを感じる。会期中の 「現代美術も楽勝よ。」展 は、展覧会タイトルは如何なものかと思うが、川俣正の模型とダイジェスト映像、ジェームス・タレルの作品が展示されているのは貴重。10分間の闇の空間は、思考に集中できなかった。全く何も見えないというのは、心が乱れてしまう。
それにしても何なのだろう、あの塔は。
  


古河総合公園は古河駅から徒歩30分程度。管理棟を内藤廣が、飲食施設をSANAAが設計している。不思議な組み合わせだ。飲食施設をスケッチしていると、この公園の番人のようなおっちゃんに話しかけられ、30分ほど講義を受ける。おっちゃんの経験に基づいた人生論は分からない部分も多々あったが、なかなか面白い話だった。日が暮れ始めてから管理棟をスケッチしていると、池で釣りをしている一人が何やら違反をしたようでめちゃくちゃ怒ってた。こういう人の存在で公園の秩序が保たれているのだろうか。建築に関しては、飲食施設は、観ていると規模は違えど直島の海の駅を思い出す。芝生と池に囲まれたガラス張りの透明感のある建築は、遠くから見ると惹きつけられるものがある。しかし、近くで観ると竣工から10年経って古びてしまった感が否めない。海の駅がこうならなければ良いが。この施設内に長居したくなるような建物内部の魅力も感じられなかった。管理棟は同時期の竣工だが、古びた印象を全く受けない。さすが内藤さん。中央部が公園の入り口のゲートのようになっているのだが、この場所がとても好きだ。公園を訪れる人を迎える存在として、主張し過ぎない静かな佇まいが内藤さんの建築らしい。