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アマゾンで古本を買ったら、出荷前検品で販売品質基準を満たさなかったらしく、サービス品として送料も全て負担で送ってもらえた。梱包を開けると外見はとてもきれい。ページをめくってみると…、鉛筆で線が引かれたり丸で囲まれたり。しかし、ひどい状態では全くないので、嬉しい限り。たまには良いこともあるものだ。

日曜日、自転車で北上。板橋駅前のマックで友人とお茶+ポテト。この板橋駅、23区内で且つ池袋のお隣なのに、何てこじんまりしていることか。何故なのだろう。二階のカウンター席で建築の事などを話ていると、窓外に大きな文字が目につく。読めば「新撰組近藤勇墓所」と、奥には巨大な石碑が。何て珍スポット。マックを後にして西巣鴨にて維新派の舞台を観に板橋を発つ。お墓参り忘れてた。


最近観た舞台
『ろじ式』@にしすがも創造舎:維新派の作品は、野外やもっと収容人数の多い劇場で観ることが多いが、小さな箱だからできることをやっている、という印象を受けた。上半身裸で後ろを向いた役者達が暗がりから徐々に見えてくる最初のシーン、浮かび上がった役者達の肩甲骨が舞台美術の無数の標本と重なり合っていたのが美しくて、作品に一気に入り込めたのだが、この劇場の規模だからこそ、だろう。他のシーンであった揺れるような微細な動きもそうで、舞台と客席の距離が近ければこそ。その点で、今回の作品も素晴らしかったが、20世紀三部作の壮大なスケール感とはまた違う。なので、初めて観る人が多いだろう東京の観客の反応はどうだったのだろうか。終演後、周囲の声に耳を傾けていたが、ちょっと分からなかった。


最近観た展覧会
DESIGNTIDE TOKYO 2009東京ミッドタウン:国内外の若手プロダクト・デザイナー達のアイディアに触れるのは、あまりこういう機会がないので刺激になる。いやー、面白い。しかし、内装設計はいただけない。訪れたのは開催3日目だったのに、何かもうボロボロである。綿を使ってブースを区切るっていうアイディアの良し悪しはともかく、使うならもっと小さいスペースの方が活きるだろう。

「三保谷硝子店 -101年目の試作展」アクシス ギャラリー:どれも緊張感のある作品ばかり。その緊張感はガラスという素材の質に因るところであるから、各作家がガラスの可能性に挑んだ結果なのだろう。宮島達男…以外か。しかし、この作家の作品も、ガラスとは関係なしに直島や原美術館で観たものよりはるかに良かった。入口から一番近くに展示されたLuminous Chair 2004は圧巻で、正面から左右から、しゃがんで再度正面から左右から、現れては消える輪郭に魅せられて何度も何度も見返してしまった。圧巻の美しさ。プロダクト・デザインでこんな感動は初めてではなかろうか。

ジュリアン・オピー 展@スカイ・ザ・バスハウス:訪れたのは、ジュリアン・オピーというよりもこのギャラリーを観てみたかったから。銭湯をリノベーションしたギャラリーで、正面左右にある大きな開口以外は、普通の銭湯(民家?)。現代美術を扱うギャラリーとは思えない外観が好印象。銀座等に立ち並ぶギャラリーとは違う客層を獲得できそうだ。良いギャラリーを発見できた。ジュリアン・オピーも、今までで最も興味深く鑑賞していた。他の作家と並んで観ている時は埋もれてしまう印象が強いが、個展として観るとなかなか楽しめる。


最近読んだ本
スティル・ライフ』:何か良い、のである。その何が良いのかを考えるために、こうした観たり読んだりしたものについて書いているのだが、池澤夏樹の作品は何かを説明しにくい。美しい文体なのだが、その言葉だけでは掴めない良さが多分にあって、それがこの作家の特異さである。描写の美しさ、とかじゃなくて作者の世界に対する眼差しの美しさ、か。

スティル・ライフ (中公文庫)

スティル・ライフ (中公文庫)